はじめに
このツールの使い方と、保存の注意です。最初に一度読んでから、①タブに進んでください。
このツールで何をするか
3年後に「これだけの利益を出したい」と決めたとき、そのために何がどれだけ必要になるのかを数字で確かめます。
- 過去2年の実績と、この先の退職の見込みを入れる(①タブ)
- 3年後までの目標営業利益を決め、そこから必要な売上高を計算する(②タブ)
- その売上をつくるのに何人要るか、毎年何人採用するか、人件費がいくらになるかを計算する(③タブ)
- ①〜③の結果を1つの表にまとめて、今のやり方のまま目標を目指したときの姿を見る。利益率がどう動き、何人採用することになるか。その人数を本当に採れるか。あわせて、過去2年の実績で悪くなっている項目を確かめる(④タブ)
- 今の取引の延長で売上がどう動くかを置き、目標との差を、利益の計算式の変数ごとに数字で見る。その差を阻んでいるものが、未来の課題になる(⑤タブ)
- 本質的課題とその解決の方向(戦略)、具体的な解決策を入れ、目標にどこまで近づくかを見る。届かなければ、残りを1つの前提で埋めるならどの水準が要るかを確かめる(⑥タブ)
- 目標との差を確かめ、残った差をどう埋めるかを書き残す(⑦タブ)
保存と読み込みの注意
- 入力した内容は、どこにも自動では保存されません。作業の区切りごとに、右上の「Excelに保存する」を押してください。画面右上に「Excelに保存していない変更があります」と出ている間は、未保存です。
- 続きから作業するときは、「Excelを読み込む」で保存したファイルを開きます。
- Excel上で数字を直しても、読み込めば反映されます。経理には「売上内訳」と「実績と見込み」の2枚を埋めてもらいます。
- ただし、業種や販管費の入れ方などの選択は、先にツールで選んで保存してください。Excelには、選んだ入れ方の項目だけが出ます。
- Excelの中では計算されません。必要な売上や採用人数は、ツールで読み込み直して確かめます。
- Excelでは、行の並べ替えや削除、いちばん右の列(非表示)の削除をしないでください。売上内訳シートだけは、行を追加できます。
この数字の位置づけ この数字は、正確な予測ではありません。社内に持ち帰って議論を始めるための「たたき台」です。精度には限界があるので、細かい端数を詰めることよりも、どの方向に、何を変えるのかを出すことを目的にしてください。
3その売上を、何人でつくるのか
必要売上高をつくるのに何人要るのか、その人件費がいくらになるのかを出します。人数は1人あたり売上高から決まります。人件費は、既存の人員の増加分と、増員の分を分けて積み上げます。新卒中心なら平均は薄まり、経験者の中途採用が中心なら平均は上がります。ここで置いた前提は、2つめのタブの必要売上高にも反映されます。
既存の人員の人件費の増加?(年)
%
採用する人の1人あたり人件費?(今の平均に対して)
%
退職の見込みは、①タブの「退職者」で入れます
人件費の増加を年3%と置いている根拠。
2026年の春闘は、連合の最終集計で全体5.01%、300人未満の中小組合で4.69%でした。3年連続で5%台です。ただしこれは定期昇給を含んだ数字で、組合のある企業のものです。定昇は制度で自動的に上がる分なので、社長が毎年判断しているのはベースアップのほうで、そちらは3%前後になります。
いっぽう毎月勤労統計の現金給与総額は、2023年+1.2%、2024年+2.9%、2025年+2.3%、2026年6月時点で前年比+3.4%。こちらは賞与と残業を含む全労働者の平均で、高い人が辞めて新しい人が入るぶん薄まるため、低めに出ます。
初期値の年3%は、この2つの間に置いた水準です。中小企業では月例給与を抑えて賞与で報いるケースが多く、賞与の伸びは月例給与より大きく出ています(2024年は、きまって支給する給与+2.0%に対し、特別に支払われた給与+6.9%)。この欄は賞与を含んだ総額で考えてください。自社の昇給・賞与の実績がわかる場合は、そちらで置き直すのが正確です。
白い枠の欄 = 自分で入れる
グレーの欄 = 自動で計算される。触らなくて構いません
人員計画今と同じ生産性・同じ営業効率のままで、必要売上高をつくる場合の人数
当期は、区分ごとに期末の人数の見込みを入れてください。空欄の区分は前期のままとして計算します。入れると、翌期の増員と3年間で採用する人数が、当期末からの数字になります。
その年に採用する人数は、その年の増員に、その年の退職者の補充を足したものです。前年のうちに採用を決めておく人数は、それを1年前の列にずらしたもので、たとえば当期の列には翌期に採る人数が出ます。いちばん右の列(翌々期の次)は、その次の期の目標がないため、退職の補充の分だけを出しています。前期の「その年に採用する人数」は、実績から逆算した数字です。
3年間で採用する人数
– 人
今と同じ生産性・同じ営業効率のままで目標を達成しようとすると、この人数を採用することになります。採用できるかどうかを、実際の応募状況と照らして考えてください。採れないのであれば、1人あたり売上高を上げるか、目標そのものを置き直すことになります。
人件費既存の人員の増加分と、増員の分に分けて積み上げます。千円
1人あたり人件費は入力ではなく結果です。既存の人員は昇給と賞与で上がり、増員分は採用時の水準で入ります。新卒中心で採るなら平均は薄まり、経験者を中途で採るなら平均は上がります。どちらでも総額は増えます。退職者の補充は、抜けた人と同じ人件費を引き継ぐものとして計算しています。当期の列は、③の当期末の人数と、人件費の増加1年分から出した推計です。
4利益率や生産性を現状のまま目標を達成しようとすると、こうなる
1人あたり売上高も原価率も今と同じ水準のまま、人件費だけは毎年上がるものとして、目標営業利益に必要な売上をつくるとどうなるか。ここまでが前半です。数字を良くする話は、次のタブから始めます。
3年後までの姿金額は千円
売上高と必要人員
3年間で採用する人数
– 人
この人数を採用できるのかどうかが、この計画が成り立つかどうかの分かれ目です。採れないのであれば、1人あたり売上高を上げるか、原価を下げて必要な売上そのものを減らすか、目標を置き直すことになります。何を変えるのかを、次のタブで入れていきます。
過去2年の実績から見えるPLの動き①タブの実績から自動で拾っています
前々期から前期にかけて悪くなった項目を、前期の営業利益への影響が大きい順に並べています。2年分だけの比較なので、一時的な動きも混ざります。本当に課題かどうかは、理由を確かめてから判断してください。
表に出す基準:営業利益への寄与度が %以上?
寄与度=利益への影響 ÷ 新しい期の営業利益。比べる2期のうち新しいほうの期(前々期→前期なら前期、前期→当期なら当期)の営業利益に対して、その動きがなければ何%多かったかを表します。利益への影響は、区分ごとに次のように出しています。
- 原価・販管費
- 売上高に対する割合の上がり幅 × 前期の売上高。外注加工費と製造間接費は、自社でつくった製品の売上に対する割合で見ます
- 人員
- 1人あたり売上高が前々期のままなら要らなかった人数 × 1人あたり人件費
- 人件費
- 1人あたり人件費の上がり幅 × 前期の人数
- 在庫
- 前期に増えた在庫の額。その分だけ前期の利益が大きく見えていて、翌期の計算では消えます
- 売上
- 減った売上 × 前々期の売上総利益率
- 当期
- 営業利益率の下がり幅 × 当期の売上高(見込み)
ここで「課題にする」とした動きは、第1回の積み残し課題の洗い出しと、第2回の課題ツリーで使います。数字の動きは結果です。なぜそうなったのかを、背景・理由の欄に自分たちの言葉で書いてください。
5目標との差を、変数ごとの見込みで埋める
④タブでは、原価率や生産性を今のままにして、目標に必要な分をすべて売上と人数に寄せました。その人数を採れないなら、変数ごとに「日ごろ見ている感覚から、これくらいはいけそう」という見込みを置き、目標と採用人数がどう変わるかを見ます。見込みを実現するための課題と、それでも届かない分を届かせるための課題を、記入用紙Bに書き出してください。
1変数ごとの見込み
どれも「3年後に、今と比べてどのくらいか」を入れ、いつから効くかを選びます。すぐに手を打てる積み残しの課題なら、翌期から効くこともあります。初めは「3年かけて少しずつ」になっています。空欄は④タブと同じ前提(今のまま。販売数量だけは、目標に必要な分まで増やす)です。「過去2年の動き」を目安にしてください。
2採用できそうな人数人
これまでの採用の実績や、採用の担当者の感覚から、1年に何人なら採れそうかを入れます。退職の補充も含めた人数です。
33年後の姿翌々期の次。千円
1人あたり人件費(昇給率と採用する人の人件費)と、売上に連動しないその他の人員(管理部門など)は、ここでは動かしません。人件費の増加は、人数の側(生産性)で吸収するものとして考えます。労務費率は、製造の生産性と1人あたり人件費で決まるため、入力はせず結果として出しています。
6解決策を反映して、目標にどこまで近づくかを見る
本質的課題の解決策を、数字に置き換えて入れます。1行入れるたびに、3年後の目標との差がこのすぐ下に出ます。差が残ったら、ステップ2で「残りを1つだけで埋めるなら、どの水準が要るか」を見て、できるかどうかを判断します。それでも届かなければ、解決の方向(戦略)を変えるか、目標を置き直します。
ステップ1解決策を入れる千円・%
本質的課題と解決の方向(戦略)は、課題のツールで決めます。課題のツールで保存したExcelを読み込むと、ここに出ます(直すときは課題のツールで)。そのうえで、具体的な解決策を1行ずつ入れます。販売数量は、⑤タブで置いた見込みから始めます。そのほかの変数は今のままから始め、解決策の分だけ動かします。
本質的課題と解決の方向
まだ本質的課題がありません。課題のツールで本質的課題を決めて保存し、そのExcelを読み込んでください。
解決策
ステップ2残りの差を、1つの前提だけで埋めるなら
ステップ3くわしい数字を見るステップ1で入れた内容が、自動で入っています
翌3年の前提
人員は入れません。製造・営業とも、1人あたり売上高から必要な人数が決まります。その他の人員は、売上に連動する人は仕事量に比例して増え、連動しない人は今の人数のままです。値上げした分の売上には、人も材料も経費も増えません。製造1人あたり売上高と外注加工費は、売上のつくり方が「自社製造」の内訳の売上だけで計算します。商品の内訳だけを伸ばせば、製造人員も外注加工費も増えません。
損益計算
人員と生産性
7修正後のサマリー
3年後の目標と、6つめのタブで積み上げた試算の差を確認します。翌期・翌々期の差は、計画の仮説どおりに進んでいるかを確かめる途中の確認点として見てください。差が出るのが普通です。どの前提をさらに変えれば差が埋まるのかを、いちばん下の欄に書き残してください。差の金額は目安です。数百万円の違いを詰めるより、差が埋まる方向か、残る方向かを見てください。
目標と試算の差プラスなら目標を上回り、マイナスなら届いていません。千円
売上高と営業利益率
営業利益と目標営業利益だけの目盛りで描いています
1人あたり売上高と人員折れ線の縦軸は0から始めていません
持ち帰って考えること数字だけでは決まらない部分です